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映画生活

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砂漠(伊坂幸太郎)

砂漠 (新潮文庫)

伊坂 幸太郎 / 新潮社

西嶋の口調がうつる。

スコア:



入学した大学で出会った5人の男女。

ボウリング、合コン、麻雀、通り魔犯との遭遇、
捨てられた犬の救出、超能力対決…。

共に経験した出来事や事件が、
互いの絆を深め、
それぞれを成長させていく。

自らの未熟さに悩み、過剰さをもてあまし、
それでも何かを求めて手探りで先へ進もうとする青春時代。
二度とない季節の光と闇をパンクロックのビートにのせて描く。

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主人公の一人、西嶋にやられる。
後ろの解説でも書かれていたが、
ホントに、こいつに心を持って行かれる。

登場した時は、なんだこのうっとうしい奴は…。
と、思っていたけど、
彼の発言、行動、だんだんツボにはまってきて、
最後、読み終わる頃には、
Twitterなどでの投稿の口調が、
西嶋化してきたくらいだ。

私、たぶん潜在的に西嶋みたいな人になりたいって
思ってるのかもしれないなと…。

久々に、小説の主人公で魅力的な人物に出会ったよ。
あんまり出会わないのに…。
今のところ森博嗣の作品に出てくる犀川先生がダントツだったんだけど、
西嶋が猛追してきそうだ。

という具合に、西嶋のおかげで
この作品の評価はググッと上がったわけですが、
特に気に入ったところを紹介したいと思う。

この西嶋という青年は、
自分がたちがその気になれば砂漠に雪を降らすことさえできると
言い出すようなちょっと変わった、今の世の中で言うと、
ちょっとめんどくさいタイプの青年なんだけど、
この西嶋が、三島由紀夫について語るところがある。

彼は、三島由紀夫は市ヶ谷駐屯地で腹を切る覚悟で
声を上げたのに、だれにも声が届かなかった。
三島由紀夫でもダメだったのに、
路上で拡声器で叫んでも、世界は変わらない。って言う。
(ものすごーくザックリと言うとです。)

ホントにそうだよなと…。
ましてや、命を懸ける気もない今の政治家たちに
世界が変えられるわけがない。

他にもすごく印象深い表現があるけど、
特にこの三島由紀夫についてのところが個人的には
一番ぐっと来た。

ぐっとくるポイントをマーカーしていったら、
半分くらい色が付きそうだと感じるくらい。
ぐっとくる言葉が多い。

学生の時に、世界が変えられるかはおいておいて、
ここに出てくる学生のように、
いろんなこと考えて、くだらないことやっておくのって
大事だよね。

なんか、脈略のない文章になってしまった気がするけど、
とにかく、伊坂さんの作品では一番好きなやつかもしれない。
by cinema-life | 2012-11-18 12:54 | 文庫
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