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映画生活

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『CUT』

映画監督の秀二はいつも兄から金を借りて
映画を撮っていたが、
どの作品も商業映画として
映画館でかけることさえできずにいた。

そんなある日、
秀二は兄が借金トラブルで死んだという
知らせを受ける。

兄はヤクザの世界で働いていて、
そこから秀二のために借金していたのだった。

秀二は何も知らずにいた自分を責め、
兄のボスである正木から残った借金額を聞かされる。

しかし、秀二には借金を返す当てもない。
彼は殴られ屋をすることで返済することを決める。

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あまりに衝撃的すぎて、
観終わった後どうしたらいいかわからなくなった。
ただ、それを和らげたのが音のないエンドロールだった。
音がないことに気がついたのはしばらくたってからだったが、
音のないおかげで心が落ち着いた。

さて、内容の方は…。
痛い。
とにかく痛々しい。

そして、秀二の台詞にドキッとする。

彼は芸術映画が上映されなくなっていることに
怒りを感じている。
その怒りと兄の死への責任、借金の返済、
これらのために殴られ屋となる。

殴られることでボロボロになった身体を支えるのは、
名匠たちが残した作品たち。
それらに包まれることでエネルギーを蓄える。

その姿がとても痛々しい。

インタビューなどで、西島さんは、
『セイジ 陸の魚』のセイジと
この秀二は兄弟のようなものと言っていた。
その理由が何だか理解できた気がする。

何かを救うために対価を支払う。
セイジも秀二もその対価は
自分の身を削ることだった。
そこまでして救いたいという強い意志が
彼らにはあったということか…。

『セイジ 陸の魚』と『CUT』
一か月足らずで二作品も劇場で観るのは
金銭的にはきついけど、
これは両方観た甲斐があったかもしれない。
両方観るべきだね。

後、常盤貴子の演技がとても良い。
手の動きで感情を表している所が
すごく好きなシーンだね。
by cinema-life | 2012-03-13 09:47 | 邦画
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